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悩む男性

梅毒とは、トレポネーマ・パリダムという細菌に感染することで発症する性病です。もともと、梅毒は1492年にコロンブス一行がアメリカ大陸の発見とともに、原住民の風土病であったものをヨーロッパに持ち帰ったことで広まったと言われており、当時は悪魔のお土産と呼ばれていました。その後、トレポネーマ・パリダムは日本にも感染が広がり、1512年に初めて発見されています。当時は、治療薬が存在しなかったため、不治の病と恐れられていましたが、1929年に抗生物質であるペニシリンが発見されたことにより、梅毒は完治する感染症となりました。

しかし、梅毒は過去の性病というわけではなく、近年日本での患者数は急増しているため注意が必要です。厚生労働省の性感染症報告数によると、2012年に年間875人だった患者数が、2013年には年間1200人を超え、その後は2015には2690人、2018年は7000人を超えており右肩上がりで増加しています。

梅毒の感染経路は、主にコンドームを使用しない性行為です。通常のセックスの他に、オーラルセックスやアナルセックスでも感染するため、性行為の際はコンドームの使用が必要不可欠です。しかし、トレポネーマ・パリダムは血液を介しても感染するため、口の中の粘膜に傷がある場合はキスだけでも感染する恐れがあります。そのため、コンドームの使用だけでは完全に予防することは難しいのですが、感染リスクの軽減には十分に有効です。

また、梅毒の症状は第1期から第4期に分けられるのですが、それぞれの段階に進行する前に症状が一時的に治まる潜伏期間があります。気が付かないうちに、症状を悪化させやすいため注意が必要です。第1期は、トレポネーマ・パリダムに感染後3週間から3カ月程度の期間を指し、症状としては性器やその周辺に硬いしこりが発生します。基本的にかゆみや痛みが生じないことに加え、放置していても2~3週間で自然消滅するため異変を見過ごしてしまいがちです。感染後3カ月以降になると第2期に移行します。感染したトレポネーマ・パリダムが全身に広がり、体全体に赤い発疹が発生するのが特徴です。この発疹は、小さなバラの花に似ていることからバラ疹と呼ばれており、第1期の症状と同様にかゆみや痛みが伴わず、数週間程度で消えてしまいます。しかし、バラ疹が現れないケースや、自然消滅したバラ疹が再び現れるケースも珍しくないようです。

感染後、治療をせずに放置したまま3年から10年経過すると第3期に入ります。症状としては、皮膚や筋肉、骨などにゴム腫というゴムのような硬さの腫瘍が発生するのが特徴です。さらに感染後10年以上経過して第4期に入ると、心血管系では大動脈瘤や大動脈炎などを発症するリスクが高まり、脳や脊髄などの中枢神経までトレポネーマ・パリダムの感染が広がると、脊髄ろうや進行麻痺といった神経障害などの症状が現れます。脊髄ろうは、手足にしびれが生じて最終的には歩行困難に陥り、進行性麻痺は、記憶力の低下や性格の変化などを引き起こす疾患です。

このように、梅毒は症状が進行すると、最終的には心血管系の疾患や脳や脊髄に神経障害を発症します。また、基本的に梅毒の治療薬には抗生物質が用いられるのですが、第1期から第2期の段階で服用を開始すれば、約1~2カ月程度で完治可能です。しかし、第3期以降になると短期間での完治が難しくなり、ゴム腫の跡が残る可能性もあります。したがって、梅毒は早期発見が重要であり、感染の可能性がある行為を行ってしまった際や、疑わしい症状が現れたら、可能な限り早い段階で検査を受ける必要があります。

かつては不治の病と恐れられた梅毒ですが、現在は早期段階で抗生物質を服用すれば比較的簡単に完治する病気です。決して過去の病気を侮らず、感染が疑われる行為をしてしまった場合や、体に異常を感じたら早めに検査を受けて早期治療につなげましょう。

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