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ペニシリン服用で梅毒治療!

悩む男性と薬

梅毒は、トレポネーマ・パリダムという細菌が原因で発症する性病のひとつです。梅毒の症状には段階があり、それぞれの段階に進行する際に一時的に症状が治まるという特徴があります。しかし、症状が治まったといっても完治したわけではなく、トレポネーマ・パリダムを完全に排除するには治療薬の服用が欠かせません。

この症状の治療薬には、基本的にペニシリンという抗生物質が使用されます。ペニシリンは細菌の細胞壁の合成を阻害する作用を有した、世界で初めて発見された抗生物質です。トレポネーマ・パリダムの排除に非常に有効であるとされており、日本性感染症学会が公表している性感染症診断・治療ガイドライン2016でもペニシリンを第一に選択すべきと記されています。また、トレポネーマ・パリダムがペニシリンに対して耐性を持たないことも、第一選択薬として推奨される要因のひとつです。細菌の中には抗生物質を使用し続けると、有効成分に対して耐性を持つものが存在することが知られており、徐々に抗生物質の効果が弱まることがあります。しかし、梅毒に関してはペニシリンに対して耐性を持ったという報告は未だにされていないため、高い治療効果が期待できるのです。

ペニシリンによる治療期間は、基本的に症状の進行段階で異なります。まず、感染から3週間から3カ月程度までの第1期と呼ばれる段階で治療を開始した場合は、2週間から4週間の服用が必要です。また、感染後3カ月から3年までの第2期になると、4週間から8週間程度、感染後3年を過ぎた第3期以降になると8週間から12週間の服用期間が必要となります。服用期間が終了した段階で、血液検査を行い完治が確認されれば治療は終了します。

また、この抗生物質は妊婦への使用も可能です。妊婦が梅毒に感染すると、約60~80%の確率で胎児にも感染すると言われており、生まれてきた赤ちゃんが先天梅毒となるリスクが高まります。そのため、妊婦の方は必ず、妊娠初期(4~12週)に梅毒の検査を受けることになっていますが、検査によって陽性が確認された場合は、すみやかに治療が開始されます。ペニシリンの成分は、胎盤や血液を通して胎児にも送られるため、母子ともに治療が可能で、生まれてきた赤ちゃんが先天梅毒になることはありません。

このように、ペニシリンは梅毒の第一選択薬として使用される抗生物質ですが、人によってはアレルギー反応を示して使用できないことがあります。日本性感染症学会のガイドラインによると、アレルギー反応を示した患者に対しては、ミノサイクリンという抗生物質の使用が推奨されています。しかし、ミノサイクリンは、胎児に対して悪影響を及ぼすことが確認されているため、妊婦の方は服用できません。そのため、妊婦の方の場合は、アセチルスピラマイシンという抗生物質の使用が推奨されています。

梅毒は、早期段階でペニシリンやミノサイクリン、アセチルスピラマイシンなどの抗生物質を服用すれば、比較的簡単に完治可能です。しかし、症状が改善したからといって自己判断で服用を止めてしまうと、服用期間が終了した際の血液検査で再び陽性反応を示す可能性が高まります。治療のやり直しを防ぐためにも、治療薬は医師の指導に従って正しく服用しましょう。